遡って振り返る、「生活と思い出と世の中と」。58回目は1986(昭和61)年の第3回です。
当時見たドラマに関する想い出などを綴っていきます。
●ドラマ(本放送)
「太陽にほえろ!」
…これについては前記事以前から色々書いていますが、この年の11月14日、718回の放送をもって終了しました。
刑事ドラマの金字塔といえば「特別機動捜査隊」という刑事ドラマが801回という放送回数を記録し、また関西ローカルの30分ものですが「部長刑事」という刑事ドラマは1600回くらい放送されましたが、これらは主役をはじめキャストが総入替えになって回を重ねたものであり、「石原裕次郎」という1人の俳優が一貫して主役を演じて回を重ねられてきた刑事ドラマとしては日本一の回数を誇りました。
終了が決まったのは夏以降だったと思いますが、86年当初は裕次郎さんも出演していました。
しかし4月に長年、裕次郎さんの片腕、後年は補佐役としてボス代行すら務めていた「山さん」(露口茂さん)が殉職しました。当初は殉職なのか栄転なのか色々あったようで、結局は殉職の形で去ると決まり、2時間スペシャルで放送されました。
事件は解決し、特に危ない場面も見られなかったのですが…、、最後の最後で叩き潰された組織の残党が「報復」の形で山さんに襲い掛かり、相討ちの形となりました。相討ちの時、犯人は即死で山さんはスタスタと階段を駆け上がっていったので大丈夫だ、と思っていましたが、ボスに報告の電話を入れる時に血が流れ意識を失い…、そして最後の力で本当の父親に引き渡すことになった育ての子へ電話…「お父さんだ」と…。山さんも刑事の前にお父さんなんだな…と。電話を切った後、息子のもとへ帰ろうと2、3歩進んだところで倒れ…
後はボスが暗い一係室内で「山さんが…死んだ…」というだけで終わり、他の刑事の反応も後日談も何もない、番組史上最後の殉職劇となりました。新刑事として、誰かベテランの重鎮が来るのかと思ったら、それもなしでただただ虚無感でした。
その2ヶ月後、700回の節目を迎えながら、この回から裕次郎さんが休演となり、前回ボス不在時(1981年)に代行主演した露口さんも不在だったので、新聞のテレビ欄は「神田正輝 地井武男…」となっていて、キャストの序列上は神田正輝さんが主演の扱いになっていた期間が2ヶ月ほどありました。
8月からは、ナント渡哲也さんがボス代行の「警部」として主演の座に就きました。またこの回には新人刑事「DJ」として西山浩司さんが加入し、それまでの「太陽ー」になかった、小柄でアクションのできるキャラクターとして活躍しましたが、渡さんとの同時登場で見せ場が半減し、更に活躍機会が少ないままに終わってしまいました。
この2人の加入でまさに「太陽-」新時代の到来で、テーマ曲も今時のアレンジに打込みの画像処理に、これから第2章が始まるんだ、そんな気分でした。
が、裕次郎さんの病状が思わしくなく復帰が難しい、との判断から、最終回を制作し、「ケジメ」としてこの回のみに出演し、有終の美を飾る、という事になりました。最初で最後の「太陽にほえろ!」における裕次郎さんと渡さんの共演でした。そして裕次郎さんがノーカットで「命の重さを語る」7分間のシーン、かつての部下の殉職シーンを織り交ぜながら、胸いっぱいにならずにはいられませんでしたね。
「太陽にほえろ!PART2」
…「太陽にほえろ!」が遂に終了し、1クール12回だけ制作された続編で、裕次郎さんの藤堂係長は新たな任を受け「栄転」した設定となり、代わって女性ボスとして奈良岡朋子さんが登場、そして番組スタートから唯一の生き残りでベテランの「長さん」(下川辰平さん)が4年ぶりに現場に復帰し、更には寺尾聰さんが中堅刑事として加入しました。他の刑事は全員前作より継続出演でした。
翌1987年2月まで放送され、ここで完全に「太陽ー」の歴史は終了しました。
「特捜最前線」
…1月から12月まで「通し」で放送された最後の年でした。
あまり見てませんでしたが、当時のTVガイドの「今日のCLOSE UP」的な欄に「藤岡弘」(「藤岡弘、」ではない)さんの写真と紹介が載っていたのを覚えています。「ちょっと危険な香りの漂う櫻井刑事役」みたいな感じで。
「あぶない刑事」
…前番組「誇りの報酬」が好評にて半年から1年に延長され、10月にスタートしました。基本は「誇りの報酬」をプロットにした「バディ刑事もの」ですが、翌87年に入ってから彼らの衣装のオシャレ具合が急激に注目され、その後30年経っても映画化されるほどの超人気作になるなんて、この時誰が予想したでしょうか??当初は横浜を舞台にした「プロハンター」とか、同じ制作会社による「探偵物語」のような、ちょっとアウトロー系の雰囲気の漂う刑事ドラマに過ぎなかったのに…、、トレンドとか時代の流れに乗る、とかいうのはあるもんですね。
「私鉄沿線97分署」
…1984(昭和59)年から放送されてきた人気刑事ドラマですが、この9月に2年間の放送を終えました。
年の初めにベテランの倉さんこと倉田刑事(高橋長英さん)が転出し、橘刑事(山口果林さん)が登場しました。
そして第2章の主人公的キャラから少し存在感が…となってきた九十九刑事(新沼謙治さん)が刑事を退職し、第3章のキーマン的刑事に古尾谷雅人さん演じる本庄刑事が登場しました。
古尾谷さんに代わっても人情路線は変わらず、終盤になって彼と斉藤慶子さん演じる仁科刑事の恋模様が描かれ、最終回は彼らのゴールインと、それまでの仮庁舎から「本庁舎」への移転という形で幕引きとなりました。
「京都かるがも病院」
…高橋英樹さん主演で4年間人気を博した「遠山の金さん」の
「花いちばん」
…大阪「よみうりテレビ」制作の朝の連続帯ドラマの第一弾として放送されました。
主演は池まり子さんということで「誰?」となりましたが、実は当時から知ってる方でした。この3年前に、渡辺徹さんが初主演した映画「夜明けのランナー」で徹さんの恋人役をしていた実質ヒロインの美池真理子さんの事でした。
「必殺仕事人Ⅴ・激闘編」
…前年1985年からスタートしていましたが、その時はほとんど見れず、7月に放送された最終回で生まれて初めて「リアルで必殺シリーズの最終回を見た」のでした。高校生になったばかりで、夜10時からのテレビを見るなんていうのは親が…という事もあったのですが、この頃あたりから少しですが、22時台のテレビを見るようになりました。
当時、春先に局の番組対抗のボウリング大会があって、「必殺仕事人Ⅴ激闘編」チームとして何人か出ていて、「柴俊夫さんが髪伸ばしてる」となりました。それまで柴さんといえば「西部警察」時代までずっと角刈りの印象だったので。また、柴さんといえば当時の出演に絡んでか阪神戦のナイターにゲスト出演していたことがあり、この「必殺仕事人」の見どころなども語っていました。
そしてこの作品のキャストは3作目の必殺映画「必殺!Ⅲ 裏か表か」 にも出演しました。一応ドラマでは、映画より後に彼らは別れていて、パラレルワールドのようになっていましたが、映画では柴さん演じる「壱」は死闘の末に、笑福亭鶴瓶さんの「参」は必殺史上悲惨ななぶり殺しの末、首まで取られ、そして京本政樹さんの「組紐屋の竜」までもが壮絶な殉職を遂げ、必殺史上最もハードな映画となりました。まさか、京本さんがドラマ2作で降板となったのが意外でした。
村上弘明さんは前作「花屋の政」でしたが、前作最終回で身元がばれたので今作から「鍛冶屋の政」となり以後定着します。
「必殺まっしぐら!」
…必殺仕事人のシリーズで三田村邦彦さんが演じていた「飾り職人の秀」が、一本立ちして主役を張った番組です。
1クールの放送で、初めて三田村さんが必殺シリーズで主演した作品であり、「必殺仕事人Ⅳ」の最終回である1984年8月を最後に「卒業」していましたが、先述の映画「必殺!Ⅲ 裏か表か」で2年ぶりに秀役として帰ってきて、また本作の主演に繋がりました。
25歳で「必殺仕事人」のレギュラーとなり、以後5年以上活躍を続け、2年のブランクを経て復帰した三田村さんはこの時32歳になっていましたが、大人になった「秀」がそこにはいて、大人の風格とアクションができる身体の動き具合と丁度いい感じだったように思いました。その後1991年に「必殺仕事人・激突!」に出演しますが、当時38歳でアクションはちょっと厳しいなと感じました。走りが遅くなってて。。
本作は秋野暢子さんや笑福亭鶴瓶さんが殺し屋役として参加し、鶴瓶さんは前作「必殺仕事人Ⅴ・激闘編」にも出ていましたが、本編にあまり出ないまま映画で殉職しながら、ここでまた別の役で継続出演となりました。
更には槍の使い手・香車東吉として西郷輝彦さんが重厚にして飄々とした演技で締めていました。元締役は睦五朗さんでしたが、これが最後には悪役に変身して鎌を死ぬほど投げつけるのにはビックリしました。当時流行のマリオブラザーズを下敷きにしたストーリー展開が面白かったです。元締と秀のつなぎを取る若者役として翌年光GENJIとしてデビューする大沢樹生さんが出ていました。
「必殺仕事人Ⅴ・旋風編」
…「ー激闘編」から3ヶ月後「ーまっしぐら」を挟んでの中村主水(藤田まことさん)再登場となりました。
「激闘編」のメンバーが多く映画で殉死したこともあり、殺し屋メンバーと藤田さんの主水と村上弘明さんの「鍛冶屋の政」だけで、出門英さんが「夜鶴の銀平」として登場しましたが、なんで若手じゃなくてベテランの出門さんなんだろう?と思ったものでした。結局出門さんも多忙で降板せざるを得なくなり、劇中で殉死する事となります。
それまで調査役で長年活躍した何でも屋の加代(鮎川いずみさん)も降板となり、かとうかずこさんが「便利屋お玉」として登場しました。また「必殺仕事人Ⅴ」の最終回を最後に卒業していた?ひかる一平さんの「西順之助」が2作ぶりに復帰、立派な殺し屋役として活躍しましたが、彼もまた出門さんと共に降板します。
この作品ではサブタイトルに当時の流行りもののカタカナフレーズを入れるのが通例となっていました。
「りつ、ハウスマヌカンになる」「主水、バースになる」とか(笑) 「主水、ワープロを打つ」のラストではホントに主水さんがワープロを打っているシーンが出てきて、取って付けた感丸出しでしたが、無理やりにでもカタカナ物に結びつけようという感じでした。
「ザ・ハングマンⅤ」
…ハングマン5作目にして、「主婦がパートでハングマンをやる」という超異色作で、山本陽子さんが主演しました。
次の「ザ・ハングマン6」までで、名高達男さんが出演していない唯一の作品でもありました。
前作「ザ・ハングマンⅣ」より佐藤浩市さんが違う役ながら継続出演しており、名高さんから佐藤さんがハングマン俳優として築いていくのかな?的なことを当時感じていました。
火野正平さんがハングマン役というのがまた意外でしたが、「エジソン」のコードネームでいろんなものを作る役柄でした。
「男女7人夏物語」
…明石家さんまさんが主演し、大竹しのぶさんと結婚することになった作品で、トレンディードラマのはしりともいえる作品で、他にも片岡鶴太郎さん、賀来千香子さん、池上季実子さん、奥田瑛二さんなど豪華すぎるキャストも話題になり、主題歌石井明美さんの「CHA-CHA-CHA」も大ヒットし、様々な方面へ影響を及ぼした作品でした。
「春風一番」
…当時かなり太っていることをウリにもしていた渡辺徹さんが、元力士役で主演したドラマです。
当時、徹さんの主演ドラマには必ず明石家さんまさんが助演していましたが、この作品で3作連続の共演となりました。
先の「男女7人…」で主演に躍り出る前のさんまさん、もっと自由な演技をしていたような印象でした。
…前年「金曜日の妻たちへⅢ」が放送され、「金妻」もひと段落したところで放送された「金花」でした。
やはりちょっと大人の恋模様が描かれ、主演の篠ひろ子さんに世良公則さんが求愛するシーンはチラッと覚えています。
「どうぶつ通り夢ランド」
…2年間放送された「私鉄沿線97分署」の後番組で、「西部警察」から続いた刑事ドラマ枠は一旦ここで途切れました。
動物センターを舞台に、動物と人々との交流を描くドラマで、主演の古谷一行さんは「セン長」(センター長の意)と呼ばれる動物好きの温かい男を演じていました。同年代の蟹江敬三さんは「事務長」で施設の経営を任され立場上、渋ちんぶりを見せこの親友役のこの2人が対象的でした。古谷さんのフォロワー的な動物研究家に三田村邦彦さんが扮していました。また小西博之さんは前番組「-97分署」スタート当初からの継続出演で、このドラマ枠に2年半出演していました。
当時三田村さんは、かつて自身が出演した「太陽にほえろ!」終了に際してコメントを残していますが、下の写真の左下で、この「どうぶつ通り夢ランド」の衣装と思われる服装で写真にうつっていました。
他にもチラッと見た程度の作品はありますが、誰が出ていたぐらいしか覚えていないので、ここで終わりとさせていただきます。
この年には再放送で初見だった番組も少なからずあるので、次はそこを触れてみたいと思います。