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昭和のドラマシリーズ「大都会シリーズ」

またまた昭和のドラマシリーズです。

今回は、前回の「西部警察シリーズ」の前身といえる「大都会」シリーズです。

 

「大都会」シリーズは1976(昭和51)年1月にスタートした、石原プロモーション初のテレビドラマ制作作品として華々しく登場し、制作者として「石原裕次郎」氏の名が明記されています。1979(昭和54)年9月まで全3作が制作されています。

それまで石原裕次郎氏は「太陽にほえろ!」のボスとして出演を続けていましたが、ここではあくまで一俳優としての立ち位置で参加しているのみであり、同じ日本テレビの刑事ドラマとして石原プロの制作作品として登場した訳です。

全3作は初作と2・3作目とに大きく分かれるのは西部警察と同じですが、西部警察シリーズが一貫してアクション路線だったのに対して、大都会シリーズは初作のみアクションと無縁の世界観が繰り広げられています。

 

①大都会・闘いの日々

放映期間:1976(昭和51)年1月6日~8月3日(全31回)

大都会シリーズの初作。下の写真のでっかく載っているツーショットが今作のものであり、下の小さいカットはPARTⅡ・PARTⅢのカットです。

渡哲也氏はこの時、病後の復帰作であり、昭和40年代後半から病気がちでテレビドラマでも途中降板を繰返す状況で、この時が実質的な復帰作となりました。彼が大都会で演じた黒岩頼介が西部警察の大門圭介に繋がる訳ですが、今作での黒岩は西部警察の3作も含めた計6作中唯一、「デカ長ではない」まったくの一ヒラ刑事の位置づけになっています。それとまだ「角刈り」ではなく、この写真からも分かるように髪を伸ばしています。(途中から角刈りになりますが) しかもサングラスも掛けていません。大門のイメージとは全く違うキャラなのです。

3

レギュラーメンバーは以下の通り

黒岩頼介 クロ 渡 哲也
滝川竜太(記者) バク 石原 裕次郎
黒岩恵子   仁科 明子
深町幸男 課長 佐藤 慶
一色光彦 課長代理 玉川 伊佐男
加賀見乙吉 係長 中条 静夫
丸山米三 刑事 高品 格
高木吾一 刑事 草薙 幸二郎
大内正 刑事 小野 武彦
平原春夫 刑事 粟津 號
清水英子 事務員 新井春美
松川 記者 宍戸 錠
日高明 記者 寺尾 聰
九条浩次 記者 神田 正輝
木内 記者 柳生 博
三浦直子 バーの女 篠ヒロコ

今作は暴力団担当の「警視庁捜査四課」と、新聞社とが暴力団がらみの犯罪を通してかかわるのが基軸として描かれており、アクション主体の後2作とは何もかもが違いすぎています。メインライターはあの倉本聰氏!作風も独特のスタイルだった訳で、犯罪を通して描かれる人間模様的な側面がかなり強く描かれています。

全31話と半年余りで終了し、メンバーの入替もなければ殉職等の人事異動も全くありません。

裕次郎氏は新聞記者、渡氏はマル暴の一介の平刑事という間柄で先輩後輩として何かと関わるのがメインのヒューマンドラマですね。

妹役には仁科明子氏、西部警察の大門の妹とは全く違うキャラで暗い影を落とした女性、それも兄の職業柄暴力団の報復に逢い輪姦された過去を持ち、これがストーリーに影響を及ぼすこともある、そのような位置づけの存在でもありました。

黒岩の所属する捜査四課の課長に佐藤慶氏、「深町軍団」として恐れられる警視庁きっての強硬派で、冷酷かつシャープな上司として君臨し、その下の課長代理に玉川伊佐男氏、係長には中条静夫氏と多くの上司が存在していました。平刑事ではベテランのマルさんに高品格氏、マルさんはPARTⅢの最終まで黒岩と行動を共にする事になりますが、今作だけは黒岩にタメ口を聞き、ヒラ刑事だった黒岩の完全に先輩にあたります。なので「クロ」と呼んだりして、後2作とかなりギャップがあります。マルさんの次にベテランの高木には草薙幸二郎氏、これまた大ベテランで、黒岩より年下なのは大内(小野武彦)と平原(粟津號)のみです。ちなみに20代の刑事はいません。

基本的に黒岩を中心にストーリー展開が進み、マルさんとコンビを組む形が多く、他の刑事は割と「その他」という感じでしたが、刑事では黒岩とマルさんと大内の3人だけがシリーズ全3作を完走する事となります。

新聞記者側は裕次郎氏と宍戸錠氏の松川とが2大ライバルという感じで、裕次郎氏側には後にPARTⅡで刑事を演じる神田正輝氏が新人記者・九条役で出演、本作がデビュー作であり、OPにも「神田正輝(新人)」と表記されていました。その先輩役としてこれまたPARTⅢで刑事を演じる寺尾聡氏が出演しています。この時はかなり影の薄い役柄でしたが…

そして黒岩と恋仲になる女性として篠ヒロコ氏が出演、まだカタカナ芸名だった頃でした。渡氏演じるキャラが恋をしているのも西部警察までの6作含めて本作だけであり、かなり異色作である事が窺えると思いますが、これが初作だった訳です。

 

②大都会PARTⅡ

放映期間:1977(昭和52)年4月5日~1978(昭和53)年3月28日(全52回)

大都会シリーズの2作目として、初作終了の8か月後にスタートした作品で、話数は全3作中最多の52話。

後の西部警察へつづくアクション路線はこの作品からスタートし、渡氏演じる黒岩もこの作品からデカ長へ昇進しています。(前作の黒岩との直接的な結びつきを語るエピソードは特になく、メンバーも大幅に変わっていて連続性はありません)

また、大都会シリーズで唯一人事異動があり、殉職者は2名。吉岡課長(小池朝雄)と平原刑事(粟津號)が10話と13話に立て続けに殉職、課長は総勢3名が入れ替わりしており、平原の殉職後14話に宮本(苅谷俊介)と神(神田正輝)が登場しています。

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主なレギュラーメンバーは以下の通り

黒岩頼介 クロさん 渡 哲也    
徳吉功 トク 松田 優作    
黒岩恵子   仁科 明子    
深町次長   佐藤 慶    
吉岡課長   小池 朝雄 1~10話 殉職
武井課長   小山田宗徳 11~31話  
山本課長   滝田 裕介 32話~  
丸山米三 マルさん 高品 格    
大内正 坊主 小野 武彦    
平原春夫 ヒラ 粟津 號 1~13話 殉職
上条厳 サル 峰 竜太    
宮本兵助 弁慶 苅谷 俊介 14話~  
神総太郎 ジン 神田 正輝 14話~  
吉野 看護婦 丘 みつ子    
宗方悟郎 医師 石原裕次郎    

大都会の初作と続き物のようでそうでないような感がありますが、そもそも舞台がマル暴から普通の刑事課になっている訳ですが、妹・恵子役は前作に続き仁科氏が出演、ただし前作より出番は激減し、また途中降板のような形でフェードアウトしていきます。これは演者の当時の状況によるそうで。

また前作で佐藤氏が演じた深町課長は次長に昇進という形で課を離れ、当初こそレギュラー扱いでOPに登場しますが、結局出てきたのは3回だけでした。

何より今作レギュラーの目玉として松田優作氏が起用された事がいちばんのニュースかといえます。当時暴力事件による謹慎等でいわば干され気味の状態から起用した格好で、数限りないアドリブと思われるセリフを繰り出して、今見てもとても新鮮に思えます。刑事課の面々も渡氏のリーダーとヒラ刑事では松田氏と、あと高品氏その他という感じでした。

その他、高品氏が演じるマルさんは今作から黒岩が上司となり「クロさん」と敬語で話しています。もっとも前作に対する言及は何一つなく、過去はなかった事のようになっていますが。これまた前作から出演の大内(小野武彦)は坊主、平原(粟津號)はヒラと今作から全体的にニックネームがつけられますが、これは他ならぬ「太陽にほえろ!」の影響なのでしょう。そんなヒラですが13話「俺の拳銃」で、自らが奪われた拳銃で人が狙われているのを発見し、その盾となって4発の銃弾をくらい殉職を遂げました。

そのヒラの殉職後に登場したのが、坊主頭で見るからにいかつい弁慶こと宮本(苅谷俊介)と警察学校出たてのエリート然としたジン(神田正輝)で、粟津氏の著書によると石原プロ所属の彼らを登場させたいがためのヒラの殉職となったようです。石原プロでもうひとり、今作初回から登場しているのがサルこと上条(峰竜太)で、まだ全然普通に二枚目の役柄で、バラエティーの要素皆無の峰氏をみるのもなんか面白いです。

課長陣は役者都合等で3人が入れ替わっていますが、最初の小池氏は水虫の治療ばかりしているようなイメージでのほほんとしていましたが、最後に刑事魂を咲かせて死んでいき、次の小山田氏は保身そのものの感じ、滝田氏の課長は割に物分かりが良く、たまに体張ってた感がありましたが、前作の深町課長のような強硬派はおらず、そこをデカ長となった黒岩が一手に担っていたのも今作からの作風といえます。

そして石原氏が演じたのは新聞記者ではなく、今作から渋谷病院の医師・宗方悟郎です。事件で負傷した被害者や犯人らを治療する医師の役どころで黒岩たちと深く関わりあい、犯人の証言取りを巡ってはお互いの立場で激しく対立することも多々ありつつ、結局は一番の理解者として黒岩に協力していくという立ち位置がPARTⅢの最後まで続いていきます。

ストーリー的に黒岩主役回と徳吉主役回が多く、たまに宗方の回や丸山の回などありましたが、その他の刑事の出番は断片的にはありましたが、ストーリー全体を転がすほどクローズアップはされてなかったように思います。

 

②大都会PARTⅢ

放映期間:1978(昭和53)年10月3日~1979(昭和54)年9月11日(全49回)

大都会シリーズの3作目にして最終作で、前作終了の半年後にスタートしPARTⅡ同様の1年間放送。

アクションがよりスケールアップし、集団アクション的要素が強まった作品で、完全に西部警察のプロトタイプともいうべき作品。

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主なレギュラーメンバーは以下の通り

黒岩頼介 デカ長 渡 哲也  
牧野次郎 ジロー 寺尾 聰  
虎田功 トラ 星 正人  
丸山米三 マルさん 高品 格  
大内正 坊主 小野 武彦  
上条厳 サル 峰 竜太  
宮本兵助 弁慶 苅谷 俊介  
加川課長   高城 淳一  
戸倉綾子 記者 金沢 碧 ~13話
宗方悟郎 医師 石原裕次郎  

今作から黒岩の妹の存在はなかった事になったようで、西部警察までの全6作で唯一、妹が登場しません。

初作以来で新聞記者役のレギュラーが登場し、金沢氏演じた女性記者が黒岩のやり方に反発を覚えながら、彼のやり方を理解しかけたというころにレギュラー降板となってしまいました。アクションに重点を置く事の現れだったのかもしれません。

刑事の人事異動は全くなく、1年間殉職もなく同じメンバーで乗り切りました。ただし弁慶役の苅谷氏が途中で大怪我をした為一旦休演後、最終回に辛うじて復帰できた格好になっています。

前作はメインのキャラとして松田優作氏の存在が圧倒的でしたが、今作は割と全員に均等とまではいかずとも、それなりにスポットが当たる格好で、逆に核となる刑事の個性はそれほどでもなかった感がありました。ただ初作で新聞記者役を飄々と演じていた寺尾氏が刑事ではメインの役どころで、これに続くのが若手の星氏というところでした。PARTⅡからの入れ替わりはこの2名だけで、他はすべてPARTⅡからの継続出演です。

課長は一貫して高城氏が務め、後に西部警察の2代目係長へつながっていったのかもしれません。

マルさんの高品氏は1919年生まれで本作放映中には60歳を迎えるところでしたが、ゲストでプロボクサーを引退したばかりのガッツ石松氏との激しい殴り合いを演じたりアクションシーンも少なからず描かれ、見た目にはかなりお爺さん然とした高品氏でしたが実は元ボクシングのチャンピオンという経歴を有しており、そのアクションには年齢を感じさせない説得力を感じました。

ジローの寺尾氏は西部警察のリキに繋がる役柄でしたが、リキほどの存在感も有能性も薄く、少し若いリキという感じで、また服装は一貫してほぼスーツでリキのようなカジュアルスタイルではありませんでした。弁慶の苅谷氏もまた西部警察のゲンにつながる体力男の役柄でしたが、人情味の描写などは少なく、キャラクターの深掘りがなく「わしは城西署の弁慶じゃ」と啖呵を切る場面がクローズアップされていました。

全体的に視聴率が好調で、最終回も25%を記録していましたが、テレビ朝日との条件が破格のものであったらしく、移行して「西部警察」が制作される事となったために終了となりました。これがなければ「大都会PARTⅣ」が放送されていたかもしれません。

という事で、同じ大都会シリーズでもかなり作風に変化があった本作でしたが、西部警察に繋がる萌芽となり、70年代後半の夜を熱狂させた番組でありました。