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昭和のドラマシリーズ「西部警察シリーズ」

突然、昭和のドラマシリーズを自分の言葉で綴りたくなり、書きました。

今回は「西部警察」シリーズです。

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西部警察はシリーズ全3作あり、1979(昭和54)年10月から1984(昭和59)年10月までの5年間、常に高視聴率を誇った石原プロモーション制作の超人気アクション刑事ドラマで、派手な爆破シーンや車の破壊など、そのスケールの大きさから「テレビドラマの枠を超えた」ドラマとも評され、CG主流の現代では、もう絶対につくる事の出来ないドラマともいわれています。

この記事では、全3作をそれぞれ掻いつまんで触れてみたいと思います。

①「西部警察

放映期間:1979(昭和54)年10月14日~1982(昭和57)年4月18日(全126回)

西部警察シリーズの初作。それまで日本テレビで好評放映中であった石原プロモーションの刑事ドラマ「大都会」シリーズの最終作「大都会PARTⅢ」を終了させ、舞台をテレビ朝日に移して、更にスケールの大きなドラマ作りを目指してスタートしました。

当初企画書では放映回数は26回で、それまでの大都会シリーズが1年間の放送に比べてその半分であり、短期集中で大量の物量作戦でインパクトのある作品を世に放つ意志の強い現れかと思いましたが、実際始まると好評に次ぐ好評で、最終的にちょうど100回プラスした126回、2年半もの超ロングランヒットとなりました。

レギュラー刑事陣は以下の通り

木暮謙三 捜査課長 課長 石原 裕次郎 1~126話※ 途中欠場あり
大門圭介 部長刑事 団長 渡 哲也 1~126話  
二宮武士 捜査係長 係長 庄司 永建 1~126話  
谷大作 刑事 タニさん 藤岡 重慶 1~126話 最終回限り
松田猛 刑事 リキ 寺尾 聰 1~123話 殉職
源田浩史 刑事 ゲン 苅谷 俊介 1~126話 最終回限り
巽総太郎 刑事 タツ 舘 ひろし 1~30話 殉職
兼子仁 刑事 ジン 五代 高之 1~54話 殉職
桐生一馬 刑事 リュウ 加納 竜 31~74話 出向
北条卓 刑事 ジョー 御木 裕 55~126話  
平尾一兵 刑事 イッペイ 峰 竜太 75~126話  
鳩村英次 刑事 ハト 舘 ひろし 109~126話  

その他、大門圭介の妹・大門明子役に古手川祐子、木暮課長の行きつけ「コーナーラウンジ」のマスター・朝比奈役に佐原健二、鑑識課員のロクさんこと国立六三に武藤章生といった面々がレギュラーメンバーとしてキャスティングされましたが、それまで大都会シリーズでは新聞記者や医師役であった石原裕次郎が初めて刑事役となって渡哲也演じる部長刑事をサポートする立場となりました。

石原、渡は勿論、継続のキャスティングですが、同じく石原プロ所属の寺尾聡、苅谷俊介も同様に大都会からのスピンオフ出演となり、後に峰竜太も1年半ぶりにレギュラー出演となりました。そんな中でキャストの目玉的存在はハーレーダビッドソンを乗り回すおよそ刑事らしくない刑事・巽総太郎でキャスティングされた「舘ひろし」でした。彼は契約の関係で当初放映の半年で満了になり、しかし番組は続いたため、最初の殉職者となってしまいましたが、1年半後に違う刑事として鳩村役で姿を変えて復帰しました。同じ番組で、同じ役者が、一度死んでいながらブランクを経て違う役で再登場するというのは極めて異例中の異例でした(「非情のライセンス」の左とん平が違うシリーズでの再登場はしましたが…)が、当時の舘ひろしの人気の高さを窺わせるエピソードであったと思います。

ベテラン刑事として「おやっさん」と呼ばれる谷刑事には藤岡重慶がキャスティングされました。「あしたのジョー」の丹下団平で人気を博し、役者としては悪役で鳴らした人ですが、ここでは厳しく人情溢れるおやじさんを演じていました。といっても番組スタート時は46歳の若さで貫禄十分でした。今の役者には絶対無理だろうなと思います。

シリーズ3作中で最長であったこともあり、殉職者は3名出ており、他に出向者も1名、その出向者はリュウこと加納竜ですが、彼だけがレギュラー刑事の中で唯一、最初の1話にも最後の126話にもいなかった刑事(途中で登場し、途中で退出)という事になります。

最初の殉職はタツこと巽刑事(舘ひろし)で幼稚園のバスに仕掛けられた爆弾を解体するためにバスを止めようとしたところを犯人の車に邪魔をされて、バイクが転倒、その際にバックミラーが腹に刺さり瀕死の身体でバスの爆弾を解体し、ヨロヨロとした足取りで空き地で爆弾を投げて、爆風に晒されて散っていきました。

2人目はタツの半年後、番組スタート1年の第54話、スタート時から新人として様々な経験を積んだ最年少のジンこと兼子刑事(五代高之)で、婚約者の女性の父親が犯罪に加担しており情報が筒抜けになり、その父親の居場所へ乗り込んだ際に銃撃に逢い、肩を撃たれながらも取引場所を聞き出し、一人で現場へ。大門はじめ先輩たちの到着を待つもなかなか現れず、このままでは犯人たちは逃げてしまう…、たまらず飛び出したジンは単身で何人もの銃を持った犯人たちに立ち向かう!しかし多勢に無勢、みるみるうちに白いシャツは犯人たちの凶弾を浴び真っ赤な血に染まり…。大門たちが駆け付けるや犯人たちは一網打尽、これを見届け婚約者へのエンゲージリングを大門に託し、静かに息絶えました。

3人目はまさか!でしたが中心刑事のリキこと松田刑事(寺尾聰)でした。番組終了を3話残した終盤の123話、マンホールに仕掛けられた爆弾の存在を仲間たちに知らせ、銃弾まみれで穴だらけになった車から出た瞬間、一度大門に撃たれたはずの男が最後の力を振り絞ってマシンガンを乱射、リキの身体は蜂の巣になり、全身を被弾し血を吐いて倒れる壮絶な殉職を遂げました。

タツの後任としてリュウが登場し、ジンの後任はやはり最年少のジョーが、リュウがインターポールへ出向した後にはイッペイが登場します。リキは後任はいませんでしたが、少し前にハトが登場していて少し早くやってきた後任というところでしょうか。

主演である石原裕次郎の病気療養による欠場もこの作品での出来事でした。リキ殉職後に課長復活という形で現場に復帰し、終盤に華を添えました。

ストーリー的には、基本的に前作「大都会PARTⅢ」を継承し、犯罪者は凶悪犯で射殺も辞さない勢いで悪を徹底的に倒すスタイルでしたが、回を重ねるにつれマイルドな時もあり、殆ど発砲シーンがない回すらあったほどで、大都会のような問答無用の射殺は段々と少なくなっていったように思います。ただ、対岸への車の大ジャンプやミサイル砲撃など、やはりスケールの大きさは衝撃的なものがありました。

 

②「西部警察PARTⅡ」

放映期間:1982(昭和57)年5月30日~1983(昭和58)年3月27日(全40回)

西部警察」に続くシリーズ2作目。初作終了後5週間を「総集編」的に、厳選されたエピソードをアンコール放送し、その後にPARTⅡとして再開されました。シリーズ中で最も短期間で終了し全40回となっています。

レギュラー刑事陣は以下の通り

木暮謙三 捜査課長 課長 石原 裕次郎 全話  
大門圭介 部長刑事 団長 渡 哲也 全話  
二宮武士 捜査係長 係長 庄司 永建 1~14話 退職
佐川勘一 捜査係長 係長 高城 淳一 15~40話  
浜源太郎 刑事 ハマさん 井上 昭文 1~35話 殉職
南長太郎 刑事 長さん 小林 昭二 36~40話  
沖田五郎 刑事 オキ 三浦 友和 全話  
鳩村英次 刑事 ハト 舘 ひろし 全話  
平尾一兵 刑事 イッペイ 峰 竜太 全話  
北条卓 刑事 ジョー 御木 裕 全話  

その他、大門圭介の妹・大門明子役は古手川祐子から登亜樹子へ交代となり、設定も売れない劇画家から保母さんへ変更、「アニキ」と呼ぶ前作から「お兄ちゃん」と呼ぶかなり女の子らしい女性へ設定変更がなされました。また刑事たちの行きつけ「セブン」の女マスター・上村七重役に吉行和子が起用され、鑑識課員のロクさんこと国立六三は武藤章生で変わらず、武藤氏は渡哲也と並びシリーズ全作通して皆勤しています。

基本「西部警察」の続編ですが、そのままの続編という訳ではないようで、谷・源田という刑事たちが何の説明もなくいなくなっており(異動した?)、代わって浜刑事がいて、これをやはり悪役で鳴らした井上昭文氏が好演しています。前作の谷刑事のような檄を飛ばしてグイグイ引っ張るタイプではなく、愚直で背中で引っ張るようなタイプの「おやじさん」でした。

そして本作のキャスティングの最大の目玉はオキこと沖田刑事を演じる三浦友和氏の起用にあります。三浦友和西部警察に登場する」という事で当時大きな話題となり、当時の彼は山口百恵と結婚してまだ1年半頃で、年齢的にも30歳を迎え、それまでの甘い青年役からの脱皮を試みている時期で、大きな転換を迫られているという状況であったように思います。その表れか、髪はスポーツ刈りになり、それまでのイメージをこの役で一変させようという意気込みのようなものが感じられました。

そして彼の演じる沖田の登場で、本作はスタートします。この沖田刑事は警察においてエリートコースをまっしぐらに歩んできた男でしたが、ある事件で凶悪犯から女性を救出することを試みて、これに失敗し女性は射殺され、自身も腰椎に凶弾を撃ち込まれる事となりました。この傷が彼の余命を1年(当社は半年と言っていたような…)に限るものとなり、残された命の炎を完全燃焼し尽くすため、西部署へ自ら志願して赴任してきたといいます。

前作ではみだし的な役どころだったハトはオキと共に中堅コンビとして中心刑事に落ち着く事となり、前作で「ポッポ」「イッペイ」先輩後輩が曖昧だったハトとイッペイは今作では完全に「ハトさん」「イッペイ」と明確に先輩後輩の設定がなされました。また平刑事の中では最古参となるジョーは今作でも最後まで最年少で後輩なしの立場が続きました。

また今作はシリーズで唯一、係長が交代しています。独特の甲高い声で「だーいもんくぅーん」と叫び続けた二宮係長が退職して弁当屋へ転身し、代わって登場したのが高城淳一氏演じる佐川勘一係長です。高城氏といえば、大都会PARTⅢでも渡氏演じる黒岩デカ長をいびり倒す加川課長を演じており、実質的な「カムバック」になります。愛嬌があってどこか憎めないのが二宮係長でしたが、この佐川係長はある意味非情に徹せられるキャラクターで「この役柄はこの人!」という制作サイドの思いもあったかもしれません、このポジションは憎まれれば憎まれるほど、大門軍団の結束が強く感じられる事となるので、ある意味重要なものがあります。

殉職は1名ですが「おやじさん」の殉職で、ハマさんが最終話近い35話で幼い娘(引き取った娘)を遺して、連続殺人の凶悪犯に果敢に戦いながら静かに命を燃やし尽くしたのでした。これは演じる井上氏の健康上の理由ともいわれていますが、代わって登場したのが「ウルトラマン」のキャップや「仮面ライダー」のおやじさんで有名な小林昭二氏が起用され、南長太郎刑事として八丈島から赴任の形で登場しました。という形で、ベテランの殉職や退職の交代劇のみの人事変動がこのPARTⅡの特徴でした。

そして、シリーズ3作ある中でPARTⅠとPARTⅡ・Ⅲに大きく二分され、ⅡとⅢは純然たる続きもので、Iはちょっと違うところや、劇伴がⅠとⅡ・Ⅲで異なるところにもあります。何より大きな差は、PARTⅡから始まった「全国縦断ロケ」です。

PARTⅠでは単に「地方ロケ」として山梨や博多などを巡っていましたが、「全国縦断ロケ」は各都市に出向いて、ことごとくそれらを壮大なイベントにしたという点で大きく異なります。全国各地に多数のファンが押し寄せ、ライブイベントなども行われ、広島の市電を爆破したり、撮影も壮大な規模を誇り、テレビドラマとイベントが一体化し社会現象にまでなったほどでした。

壮大なロケ作品がつくられていく中、番組改編期の3月末を迎えるにあたり第40話にて終了を迎え、さして最終回らしくない最終回でした。

③「西部警察PARTⅢ」

放映期間:1983(昭和58)年4月3日~1984(昭和59)年10月22日(全70回)

西部警察」シリーズ最終作。PARTⅡの完全なる続きもので、前作最終話とすべてが同じです。単に改編期の4月を迎えたのでPARTⅢになりました、という感じでした。

レギュラー刑事陣は以下の通り

木暮謙三 捜査課長 課長 石原 裕次郎 全話  
大門圭介 部長刑事 団長 渡 哲也 全話 最終回殉職
佐川勘一 捜査係長 係長 高城 淳一 全話  
南長太郎 刑事 長さん 小林 昭二 全話  
沖田五郎 刑事 オキ 三浦 友和 1~6話 退職
鳩村英次 刑事 ハト 舘 ひろし 全話  
平尾一兵 刑事 イッペイ 峰 竜太 全話  
北条卓 刑事 ジョー 御木 裕 全話  
山県新之助 刑事 タイショー 柴 俊夫 7~70話  
五代純 刑事 ジュン 石原 良純 8~70話  

その他、大門圭介の妹・大門明子役は登亜樹子が続投、セブンのママ・上村七重役の吉行和子は途中で降板します。

大きな特色としては、まず序盤に訪れる「オキの命のリミット」です。

最初と最後以外ほとんど語られず、忘れた頃に設定が甦ってきた感じでしたが、最初の設定はやはり「なかった事」にはならず、オキの身体は過去に浴びた弾丸が腰椎を確実に蝕んでいたのでした。意識が混濁したり時に血を吐いたり、身体の力が入らなくなり、最後の力を振り絞るように大門に手を添えられながら拳銃を握っていました。「もうこれ以上は…」と自らの死期を悟ったオキは退職届を出すや、冬山の彼方へ消えていき、誰も最終的にその行方を知る者がいないまま、永遠の別れとなりました。

これに続いて立て続けに2人の刑事が登場します。

一人目はタイショーこと山県刑事(柴俊夫)で、西部署へ赴任挨拶もしないまま潜入捜査し、居合わせたハトと互いに刑事と知り、それでも大ゲンカを繰り広げながら事件を解決しましたが、タイショーは若い頃、チンピラボクサーくずれでイキがっていて、大門にタイマン勝負を挑むもコテンパンに打ちのめされ、いつか見返したい、そんな一念で刑事になったといいます。以後はオキに代わるハトのパートナーとして捜査課をぐいぐい引っ張る存在となり、オキとは対照的な明るく気前のいいキャラクターで人気を博していきます。

二人目は最年少の新人ジュンこと五代刑事(石原良純)で、ジョーが登場以来2年半以上も最年少でしたが、待望の後輩誕生となりました。ジュンは今どきの若者らしく物おじしないタイプで、当初は空気の読めない感じもありましたが、経験を重ねるにつれ刑事らしく成長していきました。

オキの退場後はこのパワーアップした戦力で、番組終了まで1年半近くやってきました。何度か全国縦断ロケを重ねつつ、84年春の関西ロケを最後に、半年間はロケのない普通の話が展開され、最終回は通常時間枠の日曜ではなく、翌月曜日に3時間スペシャルとして放送された大門の殉職編でした。

国際テロ集団と大門軍団が離島で壮絶な戦いを繰り広げ、大門と原田芳雄氏演じるテロリスト藤崎の一騎打ち、刺し違えるように撃ち合い、テロリストは血だらけになって倒れながらも手りゅう弾のピンを抜き、建物は大爆破、大門は腹を撃たれてヨロヨロと爆破した建物から姿を現し、刑事たち全員が彼の元へ駆け寄った瞬間…

一発の弾が大門の胸部を貫通、テロリストが拳銃を持たせていた女が発射した凶弾でした。みんなの見ている目の前で撃たれ、みんなに囲まれながら静かに息を引き取った大門…。大門殉職の報を聞いた木暮課長は霊安室の遺体を見るや泣きじゃくって…。これが晩年の裕次郎氏の演技の印象的なシーンとしてよく取り沙汰されたものでした。

そして愛を育んでいたジュンと大門の妹・明子が結婚。大門は生前、二人の仲を薄々感じていたようで、その成婚の姿を直接見られなかったのが残念だな、と当時思ったものでした。

 

こうして西部警察シリーズの5年間は、大量の物量投入に明け暮れた5年間でした。

「もはやこんなドラマはつくることができない」そんな言葉がぴったりの何から何まで破天荒なドラマでした。